伊丹のおくりびとブログ

帰り先のはなし

2024.03.27

一つ前に

臨終を迎える病室でのお話をしましたが

 

今日はその続き

 

どこに搬送する(連れて帰る)か

のお話をさせていただきます。

 

病院で息を引き取るケースは

救急搬送された時と

入院している時の

二つがありますが

 

今日は入院している時のお話です。

 

入院している家族が息を引き取ると

すぐに連れて帰るように言われます。

 

時間的には1〜2時間といった所でしょうか

 

寝台車の手配ができたその次

 

どこに連れて帰るか。。。

 

連れて帰る先は大きく分けて二つ。

 

自宅か式場か。

 

ほとんどの場合は

直接式場へ搬送しますが

中には自宅へ一度搬送して

後日式場へ移動する場合もあります。

 

ご自宅への搬送については

自宅へ搬送できる場合と

自宅へ搬送できない場合があります

 

えと…

どこから説明しましょうか。。。

 

ご自宅へ連れて帰るとして

 

自宅へ連れて帰りたいご希望の

 

その理由からお話します

 

その理由は

 

入院中、本人が

「家に帰りたい、家に帰りたい」

と言っていた。

 

これが一番多いです。

 

中には

「お祖父さんが建てた家だから」

一旦は家にお寝かせして

家から(式場へ)送り出したい

という場合もあります。

 

ここで自宅に連れて帰る場合について

ご説明します。

 

まずメリットは

「家に帰りたい」と言っていた

故人様の希望を叶えられられる事

これに尽きます。

 

そしてデメリットというか

自宅へ連れて帰るためにの必要事項は

安置するスペースの確保です。

 

故人様をお寝かせする布団を敷くスペースと

枕元に枕机を置くスペースと

そして家族が寄り添えるスペースが

必要です。

この家族が寄り添えるスペースは

枕経を頂くお坊さんに座って頂くための

スペースでもあります。

 

自宅へ連れて帰るのに

「布団さえ敷く場所さえあればばいい」

とお考えの方が多いのですが

 

布団を敷いて故人を寝かせてたら

誰も入れない。。。

などと言う事にならない為にも

実際には最低でも4畳半

できれば6畳くらいは

必要になります。

 

襖を外せる続き間があると

なお良いです。

 

そして

故人様の搬送。

 

寝台車での搬送が1回増えます。

 

直接式場に運ぶ場合は

寝台車は1回で済みますが

自宅で一度お寝かせする場合は

病院から自宅で1回搬送し

自宅から式場で1回搬送する

合わせて2回の搬送が必要になります。

これは具体的にいうと

搬送費用が2倍になる

という事です。

 

寝台車の搬送は

およそ2万円くらいなので

その倍が必要になります。

 

 

入院が長く続いて

本人の部屋はひっくり返ったまま

 

入院中の介護が続いて

家の中は放ったらかしで。。。

 

とても連れて帰れる状態じゃない

 

その様なお話も非常によく耳にします。

 

 

誰か家族が先に帰って

家の(部屋の)掃除をするので

ある程度時間を置いてから搬送して欲しい

その様なご要望を頂いた事もあります。

 

 

ここで一度考えてみてください。

 

これは実際に

悩んでおられるご家族様に

お聞きする事なんですが

 

入院中に本人が言っていた

「家に帰りたい」というのは

「亡くなってから家に帰りたい」

という事でしたでしょうか。。。

 

入院生活なんて

誰も好んでする人は居ないと思います。

 

1日でも早く退院して家に帰りたい

 

そう思うのは自然なことだし

その気持ちは凄く分かります。

 

故人様が入院中に言っていた

「家に帰りたい」は

亡くなった後自宅の布団で安置して欲しい

という事でしょうか。

 

例えば

長い入院生活で

放ったらかしになってる

部屋の片付けをして

場所の確保のために

タンスや家具を別の部屋に移動して

介護ベッドも移動して

枕経にお坊さんが来るし

訃報を聞いて駆けつける親戚も来るし

とりあえず家中の掃除をして

せめてお茶を出せるように準備をして…

 

そこまでしてでも故人様は

「亡くなってから家に帰りたい」

とお思いだったのでしょうか

 

あるいは

「入院生活より自宅に帰りたい」

とお思いだったのでしょうか

 

そこまでご説明して、それでもなお

「一旦自宅へ連れて帰りたい」

と、ご要望を頂けば

 

お部屋のお片付けからお手伝いします

 

実際に介護ベッドを移動や

タンスの移動も部屋の片付けや

襖を外してお仏壇の掃除をして

床間を整えた事もあります。

 

そのご希望を叶えるためになら

何でもお手伝いしますので

そこはご安心ください。

 

そもそも

何年も前から老人ホームで暮らして

家を処分してしまい

連れて帰る家がない場合もあります。

 

大切な家族を亡くすという

非日常。

 

冷静な判断ができなくなる事も

あって然りだと思います。

 

焦ることはないので

「どうする事が最善なのか」

色んな場合を想定して

ご判断頂ければ幸いです。

 

大切なご家族様を

お送りする大切な時間

後悔する事なく

「一番良い方法」で

お送りできますように。

 

ー合掌ー

 

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