少し前のおはなしです
あるお葬式の打合せの時
娘が生前(闘病中)
「私の棺にはぬいぐるみを入れて欲しい」
と、そう言っていたんですが
そんな事って可能なんでしょうか?
そんなご相談をお母さんから頂きました。
お家で最後を迎えたお嬢様の部屋には
彼女が横たわるベッドを囲むように
溢れんばかりのぬいぐるみが居ました。
両手で抱えるような大きさの子から
ポケットに入る小さな子まで
様々なぬいぐるみが
所狭しと並んで
安らかな顔で眠る彼女を見守っている。。。
そこで僕は
お棺にぬいぐるみを入れて送ること
それも入りきる限りのぬいぐるみで
送ってあげましょう
そして
せっかくだし
祭壇にもぬいぐるみを飾ってあげましょう
白木の祭壇も生花の祭壇もやめて
ぬいぐるみをいっぱい飾ってあげましょうよ
と
そう提案させていただきました。
娘さんをさくらホールに迎え入れ
祭壇にご安置した棺の前後に
ぬいぐるみ用の雛壇を拵えて
家族の到着を待つ
家族には
「ありったけのぬいぐるみを持ってきて下さい」
と、事前に伝えてあったんだけど
気兼ねされたのか
たくさんあるぬいぐるみの中から
一部のぬいぐるみだけを
代表として持ってくる。。
ぬいぐるみを預かり
舞台の上にレイアウトして並べて
家族の方に見てもらう
そして
「ね、
ありったけ全部って言ったでしょ♪
お部屋のぬいぐるみ、
大丈夫なので
全部つれて来てください」
とお伝えすると
恐縮しているような
不安な面持ちでしたが
僕が言っていた「ありったけの… 」の意味を
やっと理解してもらえたのか
安堵の明るい表情になって
再度お家へ戻る。
そして改めて連れて来てくれたぬいぐるみ、
ざっと数えたら100近くある。
大きい子は後ろに…
大きい子の足元に中ぐらいの子…
写真の周りにも…
棺の上にも横にも手前にも…
お坊さんの邪魔にだけならないように
ぬいぐるみ同士が隠し合いにならないように
お花とぬいぐるみが喧嘩しないように
端から端まで
上から下まで
たくさんのぬいぐるみで
彼女の棺を囲んでいく
特に彼女のお気に入りだったという
熊のヌイグルミは、枕元の
彼女の顔に一番近いところに座らせて
完成。
後ろから聞こえる家族の感嘆の声
「す…凄い…凄すぎる…」
「まさかここまでできるとは…」
「○○ちゃんも喜んでるわ…」
「ありがとうございます…
ありがとうございます…」
しみじみと
感謝の言葉をくださいました。
その後
出棺のお別れの時も
お花と一緒に
ぬいぐるみも入れて
アーチ型になってる
お棺の蓋が閉まる限り入れた
たくさんのお花と
たくさんのぬいぐるみ
そして家族に見守られて
お棺のお蓋を閉じさせて頂きました。
お通夜の前
「祭壇って写真に撮ってもいいんですか?」
と、聞かれる家族に
「僕も写真を撮らせてもらってもいいですか?
会社として記録に残したいんですが…」
とお願いすると、喜んでお許し下さいました。
家族が亡くなった事は悲しい
誰がなんと言おうと絶対悲しい
けど
悲しいだけじゃなく
暖かい気持ちで送り出せる
送る側も、送られる側も
お互いに「ありがとう」って
感謝の気持ちが溢れる
そんな優しいお葬式が
好きです。
僕の思いで締めちゃいましたが
最後までお付き合いくださり
ありがとうございます♪
お葬式だけじゃなく
日々、感謝の気持ちが溢れ
優しい今を生きられますように♪
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